驚くべきことが「CultureFirst」(JASRAC含む著作権関連の85団体の集合)から発表されました。
つまり、複製できる機能がある商品全てに補償金をかけるよという不可思議な提言です。
この提言の法的根拠
根拠としている私的録音録画補償金制度、著作権法第30条を確認。
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
確かに「2」に書いてありますね。
平成4年12月、著作権法の一部改正により、私的録音録画補償金制度が定められ、このうち私的録音補償金制度は平成5年6月1日から、私的録画補償金制度は平成11年7月1日から実施されています。
私的録音録画補償金制度の目的
この制度の本来の目的は「不正に複製されたものの著作権利者に適正な金額を与えること」です。
提言への疑問点
「どの制作物がどれくらい不正複製されているのか?」「どれくらいの金額をどの機器に?」がわかっていなければ出来ない提言だと思います。
「どの制作物がどれくらい不正複製されているのか?」がわかってるのなら、そこから徴収できるんじゃないでしょうか。
これがわかっていないのなら、「どれくらいの金額をどの機器に?」も決めることはできません。
つまり、「おおよその目安を勝手に決めて徴収」になる。これは怖いですね。
そうなると、本来の目的「不正に複製されたものの著作権利者に適正な金額を与えること」は達成できません。
まとめ
この提言を受け入れると、新たな補償金制度は事業者負担になります。
企業は1円でも下げようと努力しているのに、そこに補償金でさらに上乗せ?不思議ですね。
制度が悪いか、時代が悪いのか。そのどちらかでしょう。
私にはすごく不可思議な制度に見えます。
参考
「新たな補償制度では私的複製提供サービスも対象に」、著作権団体が提言 – 日経BP
私的複製補償金で著作権団体が提言 – NHK
私的録音録画と著作権 | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
著作権法