Rの科学情報収集

科学、生化学、獣医学の情報をわかりやすく。この情報過多社会を生き抜く力に。

時事問題 科学

ガンの痛みを解決する、科学の新たな光

投稿日:

PAIN
ガンはほとんどの場合激しい痛みを伴うことが知られています。
私も祖父や大伯父をガンで亡くし、その辛さを垣間見ているのでどうにかならないかと考えていました。

その解決方法となりそうな論文が日本(福岡大学)から出たので紹介します。

論文名

CCL-1の脊髄への注射によって神経障害性疼痛が引き起こされる
(原典:CCL-1 in the spinal cord contributes to neuropathic pain induced by nerve injury)

要約

神経障害性疼痛(痛くないのに痛いと思ってしまう症状)がCCL-1で引き起こされることを明らかにした論文です。
神経障害性疼痛の代表はガン糖尿病の痛みです。

以下は詳細な話になります。
グルタミン酸受容体のNMDA型とAMPA型はどちらも痛みに関係しているそうです。
その神経回路にCCL-1/CCR-8が関与しているのか?(類縁のCCL-2は関与している文献あり)を調べたものです。

わかった事としては以下の通りです。

  • CCL-1は痛みに対する行動に対し濃度依存性を持つ
  • CCL-1抗体を投与すれば痛みの行動が抑えられる
  • CCR-8受容体は脊髄と末梢神経を繋ぐDRG部位(脊椎後角側)で発現している
  • 関与しているのはNMDA型かAMPA型か?という疑問に対しては、NMDA型特異的な膜電位の測定でNMDA型であると結論付けられています。

    まとめ

    まだ実験段階ではありますが、このCCL-1抗体の工業的な合成法が完成すれば、ガンや糖尿病の痛みが軽減できるようになります。

    さらなるQOL(生活の質)の向上が見込まれますね!

    -時事問題, 科学

    執筆者:


    comment

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    関連記事

    no image

    履歴書.zipにご注意を!

    「履歴書.zip」はコンピューターウイルスです。開かないように注意してください。 これは就活の人事の方が大変そうですね・・・。 参考 ウイルス:「履歴書.zip」ファイルで企業を攻撃 IPAが注意喚起

    no image

    PC遠隔操作ウィルス事件 「警察の敗北宣言」で見えたIT捜査の稚拙さ

    本当に警察は自分たちのやっていることをわかっているのでしょうか。 結論ありきで話を進め、失敗した事例をまた作ったような気がします。 記事内容 一連のPC遠隔操作ウイルス事件で逮捕・起訴された元IT関連 …

    no image

    精神薬の科学と虚構

     今日では精神疾患に対する通念が変化してきました。  「1つか2つの神経伝達物質の活性の違いによって性格や行動まで変わる」というものです。  私は神経伝達物質の受容体を研究していることもあり、人間はそ …

    no image

    AK-47…世紀の名銃カラシニコフの開発者死去

    ソ連時代に製造された自動小銃AK47、通称「カラシニコフ」の設計者、ミハイル・カラシニコフ氏が23日、自宅のあるロシア中部ウドムルト共和国イジェフスク市内で死去した。94歳だった。AK47は安価に製造 …

    no image

    オバマ大統領「NSAの情報収集プログラムを変更しよう」

     アメリカのオバマ大統領がNSA(National Security Agency)の情報収集プログラムを変更し、「アメリカの全ての電話の内容を保存する法案」を立ち上げようとしています。  やはり反対 …