非常に有名な殺虫剤、農薬です。歴史の教科書にも載っていますよ!
DDTって何?
化学物質、Dichloro-Diphenyl-Trichloroethane(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の略称です。
(DDT – Wikipediaより)
安価で強力な殺虫剤です。
正確には4,4′-(2,2,2-トリクロロエタン-1,1-ジイル)ビス(クロロベンゼン)です。
日本での歴史
終戦直後にアメリカ軍が防疫対策として持ち込んだことにより、日本で使われるようになりました。
その頃の日本は衛生状態が非常に悪くシラミなどがまん延していました。
一般の児童の頭髪に薬剤(粉末)を浴びせる防除写真は有名です。
それがなかったので他の写真を載せておきます。
(共同通信社より)
衛生状態が改善した後は、農業用の殺虫剤として利用されていました。
危険性の認識、そして禁止へ
DDTは安価で強力だったため、どこにでも撒かれるようになりました。
あまりにも多く散布されたため、生態系へ影響し異常な事態が起こり始めました。
1962年出版の「沈黙の春(英題:Silent Spring)」により警鐘が鳴らされることとなりました。
春がきても自然は黙りこくっている。小鳥も歌わず、ミツバチの羽音も聞こえない。
(レイチェル・カーソン 沈黙の春より)
DDTは昆虫のみならず哺乳類にも効いてしまうため、撒かれた土地の生態系を破壊しました。
日本では1981年に製造と輸入が禁止されました。
再評価されるDDT
DDTは一時禁止されましたが、現在ではWHO(世界保健機関)のマラリア対策の推奨方法とされています。
なぜでしょうか?
DDTほど安価で強力な殺虫剤がどうやっても生まれなかったためです。
いくつものマラリア対策の薬はありますが、どれもDDTに及びませんでした。
また、DDTの使用には“室内の散布に限る”という制限があります。
人間が使い道を誤らなければ非常に効果的なのです。
発展途上国では今でも利用されている優秀な殺虫剤です。
まとめ
農薬や殺虫剤は一歩間違えると危険ですが、有用な面が大きいです。
今の農薬には「生態系への影響」に非常に厳しい規制があります。
3年ごとに再チェックされ、少しでも異常があればOKがでません。
使う側が濃度と量さえ守れば安全です。(それが難しいんですが・・・)
「農薬は危険」と思っている方へ
農薬は年々安全になっています。
日本は農薬に対し非常に厳しい、厳しすぎるほどの規制があります。
消費者の目線が厳しい(少しでも虫食いがあると売れない 等)ので、安全基準の範囲内ですが、必要以上に使っていることも多々あります。
そして、農薬なしでは生産できない作物、収益性がなくなる作物があります。
例を挙げると、米、小麦、大豆、りんご、もも、きゃべつ、だいこん、きゅうり、トマト、ばれいしょ、なす、とうもろこしなどがあります。
農薬なしでは現実的な品質や収穫量、経済的な生産レベルを維持するのは難しいようです。
話は変わりますが、「無農薬野菜」は危険な面もあります。
登録されていない(安全確認されていない)薬品を使っても「無農薬」と表示できるのです。
ですが、農薬に頼らない新しい方法も生まれてきています。
「あいがも農法」(古野隆雄氏)が有名ですね!
農薬と昔からの知識を掛け合わせるともっと良いものができてくると思います。
知識はインターネットで調べれば多くでてくるので、かけあわせが重要な時代になってきましたね!
参考
- DDT – Wikipedia
- 農薬は本当に必要? – 日本農薬工業会
- 『病害虫と雑草による農作物の損失』 日本植物防疫協会
- 合鴨農法 – Wikipedia