思いついたので書いておきます。メモです。
現在鶏の遺伝子組み換えワクチンは2種類存在します。
・ニューカッスル病ウイルス由来F蛋白遺伝子導入 マレック病 ウ イ ル ス 1 型 207 株 ( NDV-F 、 Herpesviridae Alphaherpesvirinae Mardivirus Gallid herpesvirus2 (Marek’s disease virus serotype 1))(セルミューンN)【財団法人化学及血清療法研究所】
・aroA 遺伝子欠損鶏大腸菌 EC34195 株(ポールバック E.coli)(Escherichia coli)【ゾエテ ィス ・ジ ャパ ン株 式 会 社 】
※当時の名称、現在化血研は主要部門をKMバイオロジクスに譲渡している。
カルタヘナ法に基づく第一種使用規程が承認された遺伝子組換え生ワクチン一覧(注1)(承認順)(平成27年2月4日現在)
疑問に思ったのは「なぜ遺伝子導入先にマレック病が選ばれたか」です。
鶏の病気には家畜伝染病に指定されているニューカッスル病、家きんサルモネラ感染症、
届出伝染病の鳥インフルエンザ、低病原性ニューカッスル病、鶏痘、マレック病、伝染性気管支炎、伝染性喉頭気管炎、伝染性ファブリキウス嚢病、鶏白血病、鶏結核病、鶏マイコプラズマ病、ロイコチトゾーン病とあります。
多すぎぃ!と思ったあなた、確かにそうです。
DNAウイルスなら鶏痘、マレック病、伝染性喉頭気管炎(ILT)です。だいぶ減りました。
なぜDNAウイルスを選んだのかというと、RNA編集が非常に難しい(RNA自体が安定しないし、RNA編集の手法が確立されていないのでは・・・?)です。DNA編集には2013年に報告された1塩基から編集できるCRISPR-Cas9法もありますし。
ブロイラーに対し基本的に3種(4種)のワクチンが接種されます。
・ND(ニューカッスル病)
・IB(伝染性気管支炎)
・IBD(伝染性ファブリキウス嚢病)
(・MD(マレック病))
※採卵鶏(レイヤー)はブロイラー(40日くらいで出荷)より寿命が長いので、より多くのワクチンが接種されています。
ワクチンの中で、一般的なものがMD生ワクチンだとすれば導入した経緯がわかりますね。
医薬品評価書も見てみましょう。
本製剤は、弱毒 MDV1 型の A4 断片に、NDV の感染防御抗原である F 蛋白をコードする遺伝子(以下「F 蛋白遺伝子」という。)を導入した鶏胚細胞培養 NDV 由来 F 蛋白遺伝子導入 MDV1 型 207 株(以下「原株」という。)を継代したウイルス(以下「rMDV1」という。)を主剤とする生ワクチンで、移行抗体存在下においても孵化直後のひなに 1回接種するのみでマレック病及びニューカッスル病に対して終生免疫を付与することが可能となり、ニューカッスル病生ワクチンの投与回数を減らすことによる省力化、二次感染として起こりうる細菌感染症の発生抑制及び抗生物質の使用低減が期待できることから開発された。(参照 4、5)
動物用医薬品評価書ニューカッスル病・マレック病(ニューカッスル病ウイルス由来 F 蛋白遺伝子導入マレック病ウイルス1型)凍結生ワクチン(セルミューン N)
確かにすごい。
ND生ワクチンだけだと終生免疫を付与することができないので、終生免疫を付与できるMD生ワクチンにND抗原を入れています。生きているMD生ワクチンの病原体はずっとND抗原を出し続けて鶏さんをNDからも守り続けるとができる、と。
安全性も高いしMD-CVI型なのがすごいなあ。病原性の高いCVIに変異を入れてる。HVT+SB-1は他社製多そうだし。
特に、この製品が2009年に承認されているのがすごいと思います。
まだ2つしか遺伝子組み換えワクチンないのにね!