Rの科学情報収集

科学、生化学、獣医学の情報をわかりやすく。この情報過多社会を生き抜く力に。

科学

セロトニン – 複数の機能を持つ神経伝達物質

投稿日:

Chemistry
興奮してる事を表す言葉に「ドーパミン(アドレナリン)がドバーっと出ている」というものがあります。間違っているとも言えないのですが・・・。それらの神経伝達物質に関係する論文が出ていたので紹介します。

はじめに

「ドーパミン」「アドレナリン」は神経伝達物質です。
今回のタイトル「セロトニン」も神経伝達物質です。

神経伝達物質でただ1つだけの機能を持つものはほとんどありません。

ドーパミンの効果

ドーパミンは行動量や摂食量を司っていると言われています。
ドーパミンに反応する体内分子もドーパミンの構造が単純なため非常に多くあります。

つまり、まだまだわかっていないことが多いです。

セロトニンの効果

セロトニンは昆虫に与えると摂食量の低下が見られます。
睡眠や精神の安定にも関係していることがわかっています。

今回の論文

今回の論文では「哺乳類の体性感覚系における神経回路の形成の制御機構」にセロトニンが関与していることがわかりました。

つまり、「発生(誕生)中のセロトニン濃度によって感覚神経の形成が制御されている」ということです。

まとめ

今回はセロトニンを例に上げましたが、神経伝達物質はさまざまな機能を持っています。
1つの物事をイコールで繋げるのは非常に難しいですね。
1つ1つの積み重ねが大事だと再確認しました。

科学者の1つの言葉も「本当にそうなのか?」と1つ1つ実証してきた科学は凄いですね。

Web上では「本当にそうなのか?」という反証が非常に少ないのが特徴的です。
さらにその先の「どうあるべきか?」を考える必要もありそうですね。

原典

Dev Cell. 2013 Oct 14;27(1):32-46. doi: 10.1016/j.devcel.2013.09.002.
Birth Regulates the Initiation of Sensory Map Formation through Serotonin Signaling.
Toda T, Homma D, Tokuoka H, Hayakawa I, Sugimoto Y, Ichinose H, Kawasaki H.

-科学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

精神薬の科学と虚構

 今日では精神疾患に対する通念が変化してきました。  「1つか2つの神経伝達物質の活性の違いによって性格や行動まで変わる」というものです。  私は神経伝達物質の受容体を研究していることもあり、人間はそ …

no image

TLR9 – 侵入者のDNAに反応する

Toll様受容体TLR9によるDNAの認識の機構 2015/2/24 ・・・侵入者といっても病原体です。 自然免疫が獲得免疫のトリガーとなるという 免疫系の概念を大きく覆した理論の主役のTLR(Tol …

かんたん理解!薬剤耐性菌の発生理由!

薬剤耐性菌という言葉を聞いた事がありますか? 「なんで起こるの?」その疑問を解消します! 通常の菌の場合 ある菌(青菌といいます)がいました。 青菌は、抗菌剤Aで死滅します。 それは青菌がどんなに数が …

ルールチェンジする畜産業

Photo by Brianna Santellan on Unsplash もし、人が生きた動物の肉を食べなくなればどうなるだろうか? もし、代替となる安い肉が出ればどうなるだろうか? 「安定した」 …

no image

HIVウイルスの死滅に成功

RNA-directed gene editing specifically eradicates latent and prevents new HIV-1 infection AIDSで有名になっ …