Rの科学情報収集

科学、生化学、獣医学の情報をわかりやすく。この情報過多社会を生き抜く力に。

科学

26年ぶりの豚コレラの発生。豚コレラとは?その危険性とは?

投稿日:


豚コレラが、岐阜県で発生しました。

岐阜県は9日、岐阜市内の養豚場で豚コレラウイルス陽性の豚が確認されたと発表した。県は午前6時すぎから家畜伝染病防疫対策本部を開いて対応を協議。対象の養豚場の豚は殺処分される。
岐阜市で豚コレラ発生、殺処分 国内で26年ぶり

豚肉の輸出停止、豚コレラで「清浄国」から除外というような一般の人から見れば過剰な対応が取られつつあります。

それは何故でしょうか?

1992年以降、農場での発生が見られなかったためどの豚にもワクチンは接種されていません
つまり、感染経路さえあれば、どの豚も豚コレラに感染する可能性があるのです。

    豚コレラの何が問題かと言うと、

  1. 長期にわたり、畜産業の生産性を低下させ、
  2. 国民への畜産物の安定供給を脅かし、
  3. 地域社会・地域経済に深刻な打撃を与え、
  4. 国際的にも、豚コレラの非清浄国として信用を失うおそれがある
    ことです。

そのため、豚コレラは、豚等(豚及びいのししをいう。以下同じ。)の所有者(当該豚等を管理する所有者以外の者があるときは、その者。以下同じ。)に対し、患畜及び疑似患畜のと殺を義務付ける疾病とされた
豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針より

では、「対処方法がないのか?」と言うと、
・豚コレラの場合は生ワクチンがあります。(動物用生物学的製剤基準より)
・中国で蔓延しているアフリカ豚コレラにはありません。
豚コレラではすでに生ワクチンが開発されていますが、そのワクチンがアフリカ豚コレラには効かないようです。(アフリカ豚コレラの歴史とリスク分析より)

感染経路は、感染豚が出す唾液、涙、糞尿中にウイルスが存在し、感染豚や汚染物品等との接触(ダニが媒介することもある)等によるものです。
なお、豚コレラは豚、いのししの病気であり、人に感染することはありません。
鳥インフルエンザのように移動を繰り返す鳥に伝播するものではなく、感染が拡大するのはあくまで人や豚についたウイルスが非感染豚に感染することによるものです。
移動制限や感染豚の淘汰など水際の対策が求められます。

長期間にわたり日本からの豚肉の輸出が禁止されるため、国内の養豚業に大きな影響を与えるでしょう。

雑話

岐阜市で豚コレラ発生、殺処分 国内で26年ぶりなどを見ていてまず第一に疑問なのですが、今回岐阜で発生した豚コレラは中国で蔓延しつつあるアフリカ豚コレラなのでしょうか?それとも、従来の豚コレラなのでしょうか?それで危険度がだいぶ違うようですが。

追記:

豚コレラはウイルスを原因とする病気で、コレラ菌を原因とする人のコレラとは、関係ありません。また、中国で続発しているアフリカ豚コレラとは異なる家畜の病気です。
豚コレラに関する情報について(消費者庁)より

通常の豚コレラなのですね。対処方法はあると。

では、どこから発生したんだろうか?気になりますね。

-科学,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

TLR9 – 侵入者のDNAに反応する

Toll様受容体TLR9によるDNAの認識の機構 2015/2/24 ・・・侵入者といっても病原体です。 自然免疫が獲得免疫のトリガーとなるという 免疫系の概念を大きく覆した理論の主役のTLR(Tol …

no image

原因物質減少を確認 アルツハイマー治療研究

 脳内に蓄積することでアルツハイマー病の原因となるタンパク質「アミロイドベータ」を減少させる動物実験に、北海道大や広島大の研究チームが成功した。今後、アルツハイマー病の予防や治療法の開発につながる可能 …

no image

3次元の腎臓組織の作成に成功

熊本大学発生医学研究所が、世界で初めてヒトiPS細胞から3次元腎臓組織作成に成功しました。 腎不全は死ぬまで人工透析が必要で治らない病気でしたが、この発見で治る病気に変わりそうです。 背景 京都大学の …

no image

地球温暖化の真意

今までずっと「地球温暖化はCO2が原因である」と言われ続けてきました。 はたして本当なのか?と疑問に感じていた方も多いと思います。 結論 統計を見ると、総CO2量は年々増えていますが2000年前後から …

no image

セロトニン – 複数の機能を持つ神経伝達物質

興奮してる事を表す言葉に「ドーパミン(アドレナリン)がドバーっと出ている」というものがあります。間違っているとも言えないのですが・・・。それらの神経伝達物質に関係する論文が出ていたので紹介します。 は …